鍵穴手術による治療 <1> 顔面けいれん(3) ※戦いつづける力 第3章【書籍抜粋】

顔面けいれんの手術を受けた患者さんの感謝の声

まさか脳の病気とは思わず、眼科とマッサージに行っていました(50代・男性)

1年ほど前に手術を受けました。顔のピクピクが気になりだしたのはその1年前ぐらいからだったと思います。私の場合、顔面けいれんは、左側の目の下のピクピクから始まりました。細かい図面を描く仕事をしているので、最初は目の疲れではないかと思っていたのですが、ピクピクが止まらなくなってきたので、まず眼科を受診したのです。しかしそこでは、「目には異常はありません」と言われ、処方してもらえたのは点眼薬だけ。目の下のピクピクはまったく治まりませんでした。その次は、体の疲れが原因かと思ってマッサージに行きました。体は楽になりましたが、やはりピクピクは治まりません。まさか脳の病気とは思いもよりませんでしたから、仕方なく放っておいたのです。

たまたまその頃、妻の更年期障害が悪化し、なかなかよくならないので、あちこちの病院に連れていって診てもらっていました。そんな中で、たまたま湖東記念病院の井上卓郎先生に出会ったのです。井上先生からは「これは顔面けいれんという脳の神経の病気だから、手術したら治るので、ひどくなってきたら手術しましょう」と言われました。

顔面けいれんは、痛みがあるわけではないし、辛抱ができないほどではなかったので、私がお客さんと商談をしなくてもよければ、手術を急がなかったかもしれません。しかし私の場合、仕事を仕上げて納品するときに、いただくお金の話をしなければなりませんでした。顔面けいれんは、緊張するとよけいにひどくなるそうですが、私の場合も、いざお金の話という段になると、いつも以上にピクピクがひどくなりました。私の仕事は測量設計業なので、実際に商品を目の前に提示するのではなく、データを渡すだけです。相手は、私の顔が引きつっているのを見て、「騙そうとしているのではないか」と疑心暗鬼になってしまうらしく、「もっとまけてくれ。顔は噓つかないよ」などと言われるようになり、商談がスムーズに進まなくなったのにはほとほと困りました。

半年ぐらいするとけいれんがますますひどくなり、夜にけいれんが起きて目が覚めるほどになりました。次第に頬のほうまで広がってきて、半年後にはあごのあたりまでピクピク引きつれるようになっていました。一番ひどいときは、たえず目の下が動きっぱなしで、顔がゆがんでくるほどだったと思います。そのときにはもう何の迷いもなく、井上先生に診てもらいました。CTやMRIをとってもらって、顔面けいれんがなぜ起こるのかを画像で説明してもらい、手術の内容を聞いたときには、「この先生にすべてお任せしよう」と決意していました。「心配ないよ、顔面神経と血管の位置や圧迫の状態によっては難しい手術になる場合もあるのだけれど、これは普通のパターンだから。安心して任せなさい」という力強い言葉で励ましていただきました。麻酔科の先生からも、「心地よい気分になるように、いいお薬を打ちましょう」と言われ、安心できました。実際に、3秒ほどで意識がなくなりました。この病院は、患者一人ひとりの性格やタイプに合わせて、心のケアまでしてくれるところがすごいです。

麻酔から覚めた後は、少し微熱が出ていたようで、耳がもわっとした感じがありましたが、傷口が痛むとか、頭が痛むということはまったくありませんでした。顔のけいれんもぴたっと治まっているのに気づいたとき、本当にホッとし、うれしかったですね。それが最善の喜びでした。その日のうちに熱も下がり、耳の違和感も次第に治まって、翌日にはシャワーもできました。手術後は、順調に経過して5日目に退院。翌日には仕事をしていました。傷口ももうほとんど目立ちません。顔面けいれんは、3時間ほどの手術で、本当に楽になります。手術が怖いと思って、辛抱している人もいるかもしれませんが、信頼できる医師にきちんとした手術をしてもらうことで、術後の人生が一変します。その先生を信頼できるならば、一刻も早くすべきだと思います。本当に手術を受けてよかったと思っています。井上先生、ありがとうございました。

昔のようにきれいな顔に戻り、気持ちまで明るくなりました(60代・女性)

顔面けいれんは、いつからか忘れてしまうほど前からありました。ただ、私の場合は、27年前に脳内出血で倒れてから、右半身が後遺症のためにビリビリしびれて痛みがあるので、右目のピクピクはそれからきているのだろうと思って、最初はそれほど気にしていなかったのです。

その後もずっとお薬をもらうために、そのとき運び込まれた病院の脳神経外科に通っていたので、そのうちに右目のピクピクが顔面けいれんという脳の神経の病気だと知りました。ただ、注射はあるけれど手術はできないと聞いていたので、湖東記念病院に転院するまで、手術で治すことなど考えてもいなかったのです。こちらの病院に転院したのは、それまで通っていた病院が家から少し遠い上に、1年半ほど前に脳神経外科の診察日が減ってしまったからです。また、家の近くの湖東記念病院に脳外科のいい先生がいらっしゃると聞いたので、こちらに変わりたいと紹介状を書いてもらうことにしたのです。

最初は平井久雄先生に診てもらったのですが、「長い間、大変でしたね。右半身の麻痺は難しいけれど、この目のピクピクは手術したら治る。うちにはよい医者がいるから」と、手術をすすめられました。また、井上卓郎先生からは、顔面けいれんがどうして起こるのか、3D画像を使って私にもわかるように説明してもらいました。しかも、手術は3センチほどの開頭で済み、手術室に入ってから出てくるまで、3時間程度で終わるとのこと。27年来ずっと私の通院に付き添ってくれ、その日も一緒に説明を聞いてくれた主人も賛成してくれたので、すぐに手術が決まりました。

実際の手術は4時間ちょっとかかりましたが、それは顔面神経を圧迫している血管が1本ではなく2本あったからだそうです。手術室からストレッチャーに乗せられて出てきたときに、いつも引きつれていた私の顔がとてもきれいで穏やかなのを見て、なんともいえないほどうれしかったと主人に言われたときは、本当に手術を受けてよかったと思いました。

主人は、いつかまた顔面けいれんが再発するのではないかと、ずいぶん不安に思っていたようですが、おかげさまでそのような心配もなく、今は明るい気持ちで毎日を過ごしております。以前からずっと、右手のリハビリとボケ防止を兼ねて縫物の内職の仕事をしているのですが、けいれんがひどいときは顔の右半分が勝手にキューッと引きつれてしまって目が閉じてしまうこともあり、目の下にテープを貼って仕事をしたりしていました。こんなに簡単に治るのなら、もっと早くここへ転院していたらよかったと思うくらいです。右半身に麻痺はありますが、今は昔のようにきれいな顔に戻り、気持ちまで明るくなりました。井上先生には足を向けて寝られないと、夫婦そろって喜んでおります。

いい先生に手術をしてもらえれば、生活が一変します(40代・男性)

左側の目が勝手に瞬きをするようになったのは、5年ほど前からだったと思います。そのうち目の瞬きがだんだんひどくなり、そうなると前がよく見えないので車の運転が危なくなりました。イライラするとますます瞬きが止まらなくなるので本当に困りましたね。眼科で診てもらいましたが、点眼薬を出してくれるだけで、これが顔面けいれんという脳神経の病気だという説明はなく、症状もまったくよくなりません。

もともと神経質で緊張しやすい性格だったので、もしかしたら精神的なことが原因でこんな症状が出ているのかもしれないと思い、神経内科や精神科へもかかりました。そこでは緊張を緩和するお薬を出してもらいましたが、少しは状態がよくなるものの、病気が進行するスピードがやや遅くなっている、というような印象しかありませんでした。そのうち、瞬きが止まらなくなるのが嫌だから、最初から左目を閉じて人と話すようになり、神経過敏になって、人づきあいがますます億劫になっていきました。

けいれんはひどくなる一方でしたが、まだ子どもが小さいので仕事を辞めてしまうわけにもいきません。「怒りやすくなった」と人から言われましたが、どうすることもできず、軽いうつ状態になっていたのではないかと今は思います。そうこうするうちに会社の健康診断があり、総合内科の先生から、脳神経外科を受診するようにすすめられたのです。

福島先生に出会って初めて、「目のけいれんは、脳の血管が顔面神経を圧迫するために起こっている」のだということを知りました。色のついたMRIの画像を見せてもらいながら、手術はどんなふうに行うのか丁寧に説明してもらって、手術で治るのなら一刻も早く手術を受けたいとお願いしたところ、ひと月後に手術を受けることができました。

手術直後はけいれんが少し残っているような感じがあったのですが、それは「血管の圧迫がとても強かったので神経がかなり擦れているせいで、だんだんよくなる」という説明を最初から聞いていたので、あまり心配はしませんでした。若くて体力もあったのか、手術後はすぐにお腹が減るほど元気で、1週間弱で退院できました。ただ、建築関係の仕事をしているので、いきなり動いてふらついたら危ないと思い、さらに1週間ほど休んだ後仕事に復帰し、経過も良好です。

手術前はしゃべるのも大変だし、ついつい怒りやすくなってイライラしてばかりでしたが、今は体も心もすっかり楽になって、手術を受けて本当によかったと思っています。 もし頭の手術に不安を抱えていらっしゃるのだとしたら、いい医者に診てもらって正確な診断のもとに適切な手術をしてもらえば、生活が一変するとお伝えしたいです。

顔面けいれんは、老人だけがかかる病気ではないそうです。 また、疲れとか心の弱さが原因で起こる病気ではなく、脳の血管が顔面神経を圧迫して起こる病気なのだということを、みなさんに知っていただきたいです。人前に出るのがつらくなって、うつ状態に陥る前に、ぜひ脳外科の診察を受けられるよう、私も強くおすすめします。


世界一の医療水準を誇るアメリカの医療関係者から「神の手を持つ男」(The Last Hope)と称賛される脳外科医Dr.福島孝徳は、今年2018年で医師生活50年を迎えた。現在でもアメリカ、ヨーロッパ、北欧、南米、アジア、ロシア、エジプトなど世界20カ国以上を飛びまわり、高難度手術を年間600人以上行っている。

「絶対にあきらめない、成し遂げる」という強い不屈の心、闘いつづける力はどこから来るのか——。

世界一と称賛される奇跡の技法「鍵穴手術」について、また、患者さんからの感謝の声、愛弟子たちの秘話も満載。

「私のところには“Dr.福島でなければ治せない”という難しい腫瘍や巨大脳動脈瘤などの複雑な病気の患者さんが、最後の望みをもって来てくださいます。それが私にできる手術であるなら、どんな患者さんでも受け入れます。そして、いつも患者さんに言います。“私が手術するんだから、もう大丈夫”と」 (福島孝徳)

◎脳外科に人生を捧げた私のミッション
◎75歳の今でも、その日に行った手術の復讐は怠らない
◎なぜ私が世界や日本各地を飛びまわるのか
◎私の手術を見学したい若手医師を歓迎します
◎世界一の手術師が生んだ奇跡の技法「鍵穴手術」
◎1円玉大の穴をあけ、顕微鏡で手術する
◎鍵穴手術による治療「顔面けいれん」「三叉神経痛」
◎私の後を継ぐ「次世代の脳外科医たち」の声
◎日本で福島孝徳が手術を行う病院一覧

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2024年1月30日