解剖記録

**今回は解剖の写真が表示されます。一般の方は閲覧にご注意ください。**

解剖の勉強は外科医にとって臨床の手術をする上で非常に重要なものです。
福島孝徳先生も今でも解剖をするたびに新しい発見があり、そしてそれがまた臨床に繋がる重要な勉強なのです。と常日頃おっしゃっています。
これより解剖の写真などもこのブログで公開して行く予定です。

**再度申し上げます。一般の方は閲覧にご注意ください。**

第1回は少し小さな神経について報告いたします。

<Tympanic (Jacobson’s) Nerve>

この神経は臨床的にglomus jugulare や glomus tympanicumが発生する神経として知られています。脳外科医としては非常に有名な神経でありますが、非常に小さく細い神経であるため、この神経を実際に確認する事はなかなか難しく、実際この細い神経全貌を確認したことがある先生はあまり多くはないのではないでしょうか。

舌咽神経のinferior ganglion(petrous ganglion)から起始し、鼓室に向かって骨内を走行します。鼓室tympanic cavityに到達すると鼓室神経叢tympanic plexusに合流し、その後lesser petrosal nerve(副交感神経線維)としてotic ganglionを経由し三叉神経第3枝の分枝の1つauriculotemporal nerveに合流し、耳下腺の分泌を司ります。また感覚線維も有し、中耳の感覚を担います。解剖学的に露出させるのは困難な神経の一つでありますが、今回露出し得た写真を提示いたします。

Mastoidectomyをした際にjugular bulbとsemicircular canalの間の骨を削ると9th nerve canalが出てきます。そのcanalからsemicircular canalの下に向かう細い神経が確認できます。これがJacobson’s nerveになります。Jacobson’s nerveがtympanic cavity に入って行くのが確認できます。

J−N01

 

Jugular foramenを開放して9th nerveを露出させると9th nerveのinferior ganglionが見えます。Jacobson’s nerveはこのinferior ganglionから出ています。

 

J−N02

 

J-N03

 

Tympanic cavityを開放するとtympanic plexusが確認できます。Jacobson’s nerveはtympanic plexusに繋がって行きます。

 

J-N04J-N05

 

tympanic plexus には他にlesser petrosal nerve, ICAのdeep petrosal nerveが入ってきます。

 

J-N06

2013年7月27日