髄膜腫とは|診断〜手術・治療戦略を専門医が詳しく解説

脳腫瘍とは|初期症状・良性と悪性の違い・治療法を専門医が解説

髄膜腫(ずいまくしゅ)とは

脳や脊髄は「髄膜」という膜に包まれています。髄膜は硬膜・クモ膜などの層から成り、その中を脳脊髄液が流れています。髄膜腫とは、この髄膜から発生する腫瘍のことです。脳腫瘍の中でも最も多いタイプのひとつで、全体の約3分の1(約32%)を占めます。

腫瘍の大きさは1cmほどの小さいものから、7〜8cmに達するものまでさまざまです。発生する場所も脳や脊髄のどこにでも起こり得ます。たとえば、運動野や言語野に接するもの、視神経の周囲、あるいは脳幹の近くにできる傍脳幹髄膜腫などがあります。
発生部位によって症状や治療の難易度は大きく異なります。

手術の実績と専門分野

福島孝徳は、髄膜腫の手術を数多く行っており、これまでに約2,500人の患者さんの治療を担当してきました。特に、手術が極めて難しい以下のような部位で多くの実績を重ねています。

  • 前頭蓋底や眼窩部に発生した髄膜腫
  • 海綿静脈洞に及ぶ髄膜腫
  • 脳幹近くにできる傍脳幹髄膜腫(1,200例)
  • 錐体骨や斜台に発生する髄膜腫(820例)

良性・悪性の割合と進行の特徴

髄膜腫の約85%は良性で、年間2〜3mm程度ずつゆっくりと成長します。一方で、約12%が「中間悪性(Grade2)」、約3%が「悪性(Grade3)」と分類されます。良性であっても、成長によって神経や血管を圧迫し、症状を引き起こすことがあります。

「経過観察」に注意が必要な理由

小さいうちは「しばらく様子を見ましょう」と言われることもありますが、腫瘍が大きくなると手術が難しくなり、合併症のリスクも高まります。そのため、全摘出が可能な早い段階での手術が、最も安全で確実な治療法となります。適切な時期を逃さず、早期に手術を受けることが大切です。

治療法の選択について

治放射線治療や経過観察は、合併症のリスクがあるため基本的にはおすすめしていません。最も確実な治療法は、経験豊富な脳神経外科医による全摘出手術です。腫瘍を完全に取り除くことで、再発を防ぎ、長期的な良好経過を期待することができます。

医師・医療機関の選び方

病院の規模や肩書き(教授・部長など)ではなく、執刀医本人の手術経験と技術力を基準に選ぶことが重要です。特に、髄膜腫の手術を500例以上経験しているか、どの程度の安全性と全摘率を維持しているかを確認することをおすすめします。

髄膜腫の手術は、患者さんの生命と生活の質を大きく左右する重要な治療です。経験と実績を持つ医師を慎重に選び、安心して治療に臨むことが大切です。


詳しくは「Dr.福島が解説する「髄膜腫(ずいまくしゅ)」

2025年9月20日