■2月17日(日)
米国で2週間Fullに働いた後、2月15日(金)の夜中便に搭乗。早朝5時30分に羽田空港到着。1時間程少し休んで相模原市の晃友脳神経外科眼科病院へ。
晃友脳神経外科眼科病院では、右運動野に近い大きな典型的な異型髄膜腫の全剔手術(他病院で腫瘍切除もせず右大脳全体に大量の放射線をかけてしまい、広汎な強い脳浮腫を合併)を行いました。さらに同じOP室で、聴神経腫瘍と顔面痙攣の手術も行ったため、朝9時から夜21時まで、約12時間かかりました(患者さん入れ替と麻酔で5時間程かかったので、正味手術時間は3例で7時間です)。
■2月18日(月)・19日(火)
朝一で大阪、畷生会脳神経外科病院へ。
2日間で6名の手術を行いました。顔面痙攣、三叉神経痛、下垂体腫瘍、聴神経腫瘍2例、錐体骨斜台髄膜腫全摘出です。
■2月20日(水)
朝、大阪から高知へ。
高知市の愛宕病院で、大きな松果体部髄膜腫と聴神経腫瘍の2例の手術を行いました。 (下図MRI)
■2月21日(木)
江戸川区北葛西の森山記念病院で、また稀な巨大な松果体部髄膜腫の全摘手術を行いました。(下図MRI)
次いで、稀なAcom動脈瘤にchiasma海綿状血管腫の合併症例と2例の難しい手術を行いました。
午後15時で終了し、直ちに羽田空港へ直行し、夕方17時の便で札幌へ向かいました。
■2月22日(金)
北海道大野記念病院で3件のOP。左ELITEアプローチによる左C1-C2の間の大きな神経鞘腫のカギ穴式全剔手術を行いました。(下図MRI)
次いで、左聴神経腫瘍の全剔手術。ガンマナイフをあてた側でうすい顔面神経の癒着が強く、細心の注意で神経を剥離温存しました。(術後正常)。(下図MRI)
最後に、激痛で食事も出来ない87歳の三叉神経痛の方を、Supine LateralでMVT。この方は小脳上部に非常に大きな静脈叢があり、テントが良く見えない方で、しかも錐体静脈が4本、深部で三叉神経はAICAとSCAでサンドイッチ圧迫状態です。1~2ミリの超カギ穴スペースで何とか両方の圧迫血管を移動しました。普通のカギ穴MVTなのに内部はとても難しいものでした。しかも87歳なのに、脳はパンパンに水々しく腫れていました!!(術後激痛消失、excellent)
■2月23日(土)
いつもの通り、札幌→羽田→東京駅→福島県郡山市へ。
総合南東北病院で2例の難しい手術を行いました。第1例は脳神経外科で最もリスクのあるとても困難な巨大両側型斜台髄膜腫の手術。両側の6-7-8-9-10-11-12、14本の脳神経と両側VA-BA、PICA、AICA、沢山のperforators、細い枝を巻き込む、とても大変なOPでした。しかもangioblastic、血流の多い髄膜腫でした。佐藤俊輔先生と8時間奮闘し何とか、全剔にこぎつけました。両側の9-10を剥離したので術後の嚥下障害が心配です。(下図MRI)
もう1人は、2㎝の左聴神経腫瘍の手術。左は聴力正常なので、薄くペラペラになった顔面神経と聴神経に少し被膜を残して殆ど摘出しました。コンピューターの術中反応は顔面神経も聴神経も正常でした。(下図MRI)
■2月24日(日)
朝一で鹿児島へ。
霧島記念病院で顔面痙攣と左中大脳動脈瘤と2例の手術を無事完了しました。
■2月25日(月)
鹿児島市内の厚地脳神経外科病院で、セカンドオピニオン外来の6名の患者さんを診察しました。その後、聴神経腫瘍を2例手術し、全剔しました。
■2月26日(火)
厚地脳神経外科病院でMVDの手術を行い、午後は鹿児島から新幹線で久留米へ。
筑後市の寺崎脳神経外科にて15名のセカンドオピニオン外来を行いました。15人中10人が手術適応の方々でした。
この日は福岡に宿泊しました。
■2月27日(水)
朝一で福岡から羽田へ。直ちにタクシーで新百合ヶ丘総合病院に直行。
右拡大中頭蓋窩法で、大きな髄膜腫の手術と延髄背側の血管芽腫の2例の手術を行いました。すぐに車を飛ばして、厚木から伊勢原へ。
東海大学で大変困難な手術を行いました。幼児期の放射線治療で誘発された悪性メニンジオーマの方です。すでに右視力障害、右完全動眼神経麻痺、右顔面痺れと海綿静脈洞の多発神経麻痺があるので、右海綿静脈洞腫瘍全剔、側頭下窩から、拡大中頭蓋窩、テント切除、後頭蓋窩腫瘍もすべて全摘出しました。(下図MRI)
本日は、福岡空港から始まって、新百合ヶ丘総合病院と東海大学とのダブルヘッダーで、目の回る忙しい手術スケジュールでした。福島選手は不死身、不滅です!
■2月28日(木)
朝一から、江戸川区北葛西の森山記念病院で9名のセカンドオピニオン外来を行いました。次いで中大脳動脈瘤クリッピング手術、出血性で硬く癒着性の大きな聴神経腫瘍の全剔術を行いました。この患者さんの左顔面神経は内側シフトから吻側背側へ伸展されるL型サランラップの薄い顔面神経で、剥離は大変困難でした。神の助けにより、何とか剥離し、腫瘍を全剔できました(顔面正常)。
3例目は、頭頂部超浸潤性の両側傍矢状洞髄膜腫。わずかに流れる上矢状静脈洞と太い静脈4本を保存して亜全摘手術を完了。最後の4例目は、青森県から救急で入院した若い患者さんで、類表皮腫による左三叉神経痛の激痛に苦しんでおられました。2時間ほどで全剔。3,4,5,6,7,8と6本の脳神経を全て剥離保存できました。
■3月1日(金)
中野区江古田の総合東京病院へ。
朝一で三叉神経痛と顔面痙攣のカギ穴手術。次いで、インドから来た若い男性の巨大錐体骨斜台髄膜腫の根治的切除を行いました。マストイド・S状静脈洞を完全に露出し、拡大レトロシグモイド・transtentorialで安全にアプローチ。体骨、テント、斜台、海綿静脈洞後部広浸のオリジン付着部で出血性のため、10時間もかかりました。(下図MRI)
■3月2日(土)
朝一で東京駅丸の内北口大手町にある「東京クリニック」に移動。
朝の8時~10時で、全国から来る脳難病疾患のセカンドオピニオン8名行い、その後、西葛西の東京脳神経センター病院附属、福島孝徳脳神経センター全国的国際診療部で、8名の特別診察を行いました。
午後は東西線地下鉄西葛西駅の反対側、北葛西に新築された大きな森山記念病院で4件のカギ穴マイクロサージェリーをスムースに施行。
第1例は右中等大の聴神経腫瘍、易出血性、癒着、浸潤で顔面神経の剥離保存に苦労しました(術後正常)。第2例は左右視神経を巻き込む鞍結節部髄膜腫で、きちっと視神経に触らずにうまく剥離保存し全剔、3例目も右運動感覚領の真中にある海綿状血管腫で多数のマイクロぶどうをきちっと剥離して全剔できました(術後麻痺無)。4例目は食事も出来ない典型的な動脈ループ圧迫の三叉神経痛でした。
■3月3日(日)
相模原市(最寄り駅は橋本駅)の晃友脳神経外科眼科病院で脳動脈瘤クリッピングを2名手術しました。全て成功しました。
■3月4日(月)
最終日。中野区江古田の総合東京病院で右の大きな聴神経腫瘍と、左脳幹延髄部の難しい脳腫瘍と2件の手術を無事終了し、そのまま羽田から夜行便でアメリカへ帰国しました。16日間、毎日難しい手術の連続でしたが全例良好な結果で神に感謝!
次回は、3月末のエジプト学会で招待講演を4題発表後、3月31日に東京着です。
では、又、逢う日まで。 Till we meet again!