福島孝徳 脳神経外科 活動レポート 2018年11月 後編

■11月14日(水)

外国人教授の方々は上海へ。私は高知市の愛宕病院で非常に困難な右聴神経腫瘍の手術。稀な症例で顔面神経がL型で腫瘍被膜内に巻込まれた背側偏位。腫瘍を全剔した後、脳幹側断端から内耳道まで1.5cmの神経を移植、顔面神経再建術を行いました。
 
2例目は左小脳橋角類表皮腫。約2時間で全剔しました。
 
その後高知から大阪へ飛ぶ。
 
 

■11月15日(木)

大阪、畷生会脳神経外科病院で朝1より11名のセカンドオピニオン外来を行い、昼より左VAの顔面痙攣、聴力保存の聴神経腫瘍切除(1.5cm)。そして左頚静脈孔神経鞘腫をELITEで切除。
 
その後、直ちにタクシーで関西空港に移動。夕方19:30時発の上海航空機に間に合って上海へ。

 
 

■11月16日(金)~11月17日(土)

16日、17日は、欧米外人教授に合流して上海浦南病院へ。
福島記念国際シンポジウムが行われました。
 
 

■11月18日(日)

朝1で上海から羽田、タクシーを飛ばして相模原市の晃友脳神経外科眼科病院へ。
 
日曜スペシャルの晃友オペ2例を行いました。第1例は蝶形骨縁髄膜腫、中大脳動脈をうまく剥離して全剔。第2例は若い女性の脳幹内(Pons)のう胞腫瘍(下図)で第4脳室経由で全剔しました(組織診断はependymal cystでした)。


上海から着いて、午後からのオペなので終了は夜に23時になってしまいました。
 
 

■11月19日(月)

西葛西で外来8名。北葛西森山記念病院で4例の手術。その後夜間、江古田の急患、たて続けに3回も出血した脳幹の海綿状血管腫を全剔しました。
 
1) 内頚動脈Ant Chor.動脈瘤のクリピッング
2) 左聴神経腫瘍(12ミリ)の聴力保存手術(大成功)
3) 右海綿静脈洞髄膜腫(前床突起、中頭蓋窩、後頭蓋窩へ伸展する巨大腫瘍)のSTR施行
4) 左顔面痙攣(他院のOPやり直し手術)つめ込みテフローマ摘出手術。
5) 右Horizontal fissureアプローチ、paratrigeminal routeで大きなPons外側の海綿状血管腫全剔手術(術後 Excellent)


夜遅くなりましたが、全5症例とも全て合併症なく成功しました。満足に就寝。

■11月20日(火)

江古田の総合東京病院で、巨大右前床突起髄膜腫の全剔手術です。

こんな大きいのに全く症状無しです!!(脳ドックで発見)動眼神経、右内頚動脈、中大脳動脈、両側視神経を全てgentleに剥離、温存して全剔出来ました。


2例目はGradeⅠ、良性の脳室上衣腫の左小脳橋角部への再発伸展腫瘍。ELITEで7-8-9-10-11-12と6本の脳神経を温存して全剔術を行いました。


これら2人の困難な手術を午後14時半に終了して、タクシーで羽田空港へ急行。16時の便で大阪から伊丹空港に移動し、そこからタクシー飛ばして畷生会脳神経外科病院へ。
 
脳幹Ponsから中脳、視床下へ伸展する数回出血した大きな海綿状血管腫の救急手術を行いました。若い患者さんですでに左半身麻痺(車いす状態)の状態でした。

夕方18時半から20時までで全剔終了。
 
タクシーで京都駅へ。20:40時の新幹線に間に合って東京へ戻れました。超tightで大変な1日でしたが全てうまくいって満足し、就寝。
 
 

■11月21日(水)

朝1で8時AM~10時AM 東京クリニック。12人のセカンドオピニオン外来診察。
 
その後、西葛西で、外来診察6名、昼から北葛西の森山記念病院で左内頚動脈眼動脈近傍の難しい動脈瘤をドレンツ法でクリッピング。左中頭蓋窩の巨大髄膜腫をNTR、V1-2-3と3,4,6全て浸潤。明らかにGrade2~3。


3例目はイギリスから来た若い男性患者さんの左小脳橋角部の類表皮腫。「5-6-7-8-9-10-11」と7本の脳神経を温存してRadical全剔成功。合併症無し。
 
4例目は内耳道から後方、Lateralマストイド内に発育伸展する稀な側頭骨内の聴神経腫瘍。 経迷路法でマストイド内を全郭清。顔面神経を全経路剥離して全剔成功。とても稀な症例でした。

 
 

■11月22日(木)

朝08:33時発の新幹線ひかりで米原へ。
 
東近江市の湖東記念病院で3件の手術。
1) 前大脳動脈 Acomのクリッピング
2) 右三叉神経2枝末梢の眼窩下神経鞘腫、硬膜外法で全剔
3) 視交叉部直下の頭蓋咽頭腫の全剔術
3例とも全てうまく行って、新幹線で東京へ戻りました。
 
 

■11月23日(金・祝)

日本は世界一「祭日」の休みが多い!“年間16日”も、霞が関か誰かさんが祭日を作ってしまった。あまり勤勉でない欧州フランスでも祭日は10日なのに!!
 
本日は霧島記念病院です。第1例は子供の頃の頭部放射線治療で発症した右頭頂部の髄膜腫。大きいステージ4ですが、全剔!!
 
次いで右2.5センチの聴神経腫瘍の手術。非常に硬く、出血性、癒着性なので、蝸牛神経、顔面神経に詰めの皮程、うすい被膜を残して、亜全剔しました。
 
夕方18時の飛行機で羽田へ戻りました。(霧島市日帰り手術2例)。
 
 

■11月24日(土)

朝1から西葛西福島孝徳脳神経センターにてセカンドオピニオン外来8名。
 
その後北葛西森山記念病院にて、都内のさる公立病院でテフロンを詰め込んだ失敗例の三叉神経痛手術のやり直し(テフローマ除去術、神経根クリーニング)、VA・PICA・AICA三重圧迫の顔面痙攣、顔面痙攣の3例のMVT(Micro Vascular Transposition)鍵穴手術。
 
午後から夜まで来年1月の国際学会の準備。
 
 

■11月25日(日)

日曜スペシャルの相模原市晃友脳外での頭蓋底手術。右三叉神経痛と複視で発症したCaverno—petroclival=海綿静脈洞錐体骨斜台髄膜腫の手術。前床突起部と視神経管、正中部を切除して視神経の保護と浸潤性髄膜腫が対側へ伸展するのを防止し、且つテントから傍脳幹腫瘍を摘出して無事終了。年齢を考慮して、海綿静脈洞内部は宮崎紳一郎先生(1万症例以上治療している)にサイバーナイフを依頼しました。この日は、札幌より木下裕介先生がオペ参加してくれました。
 
この日は、米国へ帰る日なので、夕方、ホテルへ戻り、最終のデータ整理とスーツケースPacking。夜22:55時の夜行便でノースカロライナ州ラーリーデュラム空港(Duke大学)へ帰国。
 
過密スケジュールの3週間で47症例を助けました。 脳幹手術や超困難例を含めて合併症無しが何よりの喜びでした。では又、来る日まで、アディオス!

2018年12月2日