Dr.福島、人生最後の座談会 ~【 第2回日本心臓鍵穴手術学会】(2023年10月11日)

2023年10月11日に開催された「第2回心臓鍵穴手術研究会」の特別講演会の動画が公開されました。本動画では、Dr.福島とニューハート・ワタナベ国際病院の渡邉剛先生による貴重な座談会をご覧いただけます。

Dr.福島が遺した最後のメッセージ。 ぜひご視聴ください。


(Dr.福島)私は今、81歳ですからね。そろそろスローダウンしようとは思っています。今、私が一番力を入れているのは、これまで育ててきた弟子を独り立ちさせることです。それに全力を注いでいます。

――先生は個人的に指導されているのですか?

(Dr.福島)はい。次の世代を育て上げなければなりません。だから、私の弟子たちにメインのスコープを任せ、私は助手のアシスタントスコープからサポートする立場に回っています。頭の中で180°視点を切り替えながら、弟子を一人前にするために全力を尽くしています。

――先生はキーホールサージェリーなど、難しい手術をされていらっしゃいますよね。僕たちのような若手がキーホールサージェリーや難しい手術を学ぶ際、いきなり取り組むべきなのでしょうか? それともまずは開腹手術などの基本を経験したほうがいいのでしょうか?

(Dr.福島)一番大事なのは、まず教科書を丸暗記することです。10回、20回と繰り返し読んで、すべて頭に入れる。これが第一歩ですね。次に、先輩医師たちの手術映像を徹底的に見る。さまざまな手術法があるので、それをABCD…すべて覚える。

その後は解剖を徹底的に学ぶこと。シミュレーションを繰り返し、しっかり準備しなければなりません。ただ、実際に自分が初めて手術をするとなると、患者さんに「この手術は私にとって初めてです」とは言えませんよね。だからこそ、例えば「渡辺チーフのもとで5年間修行し、100例こなしてきた」など、段階を踏んで経験を積む必要があります。

そして最後に必要なのは“ガッツ”です。どれだけ技術を学んでも、挑戦する力、パワーがなければダメ。お風呂に入っていても、トイレにいても、常に「もっと良いやり方はないか」と考え続ける。たとえば、ファカルティが今やっている手技があるとして、それを180°視点を変えたらどうなるか、別のアプローチはないか、考え抜くことが大事です。

道具も同じです。ただ使うのではなく、「この器具をこう改良したらもっと使いやすくなるのでは?」と考え続けること。それくらいの発想力がなければ、世界を驚かせるような”ミサイル級の仕事”はできません。

2025年3月10日