【提言】病院ランキング本や名医ドクター紹介本について

近年、「○○病院ガイド」「○○病院ランキング」のようなタイトルをつけて様々な病院関連情報本が出版されています。これら出版物の多くは、誌面に記事の体裁をした広告ページ、すなわち高額な料金を取って、各誌の病院選出基準には本来達していないであろう一般の開業医や医療法人なども記事風の広告として多数掲載されています。

ここに大きな問題があります。誌面の中で、広告記事の病院と、誌面の選定基準をみたした病院との区別がわかりづらいため、読者は、広告記事の病院も優れた病院と勘違いしてしまいます。出版社によっては、広告を獲得するため、広告記事と編集記事をあえてわかりづらくしている節すらあります。

健康や生命に関わる選択をするための情報として、病院がお金を払って情報をのせる広告ページばかりの本は買ってはいけません。文部科学省や厚生労働省もこのような本が出回らないように、歯止めをかけるべきです。

従来の医療本は各病院の情報のみであって、医師の優劣を記述するドクターランキングのような本は出版社の間でご法度とされていました。ところが2015年に「全国名医ランキング/桜の花出版」、(この本には広告ページの掲載はありません)が上梓されると、事態が一変しました。前述の「○○病院ガイド」「○○病院ランキング」のようなタイトルの様々な名医本やWebサイトが氾濫してきたのです。

国民の皆様が注意しなければならないのは、次の通りです。

1. お金を払って誌面に掲載させる医師は、その掲載情報だけを信用せず「臨床成績」、「臨床経験数」を調査してください。
2. 本当の名医、熟練医は必ず臨床学術論文があります。少なくとも数百例から数千例の手術経験と、その成功率、合併症率、副作用率を提出してもらうことです。日本トップの名医は必ず欧米の一流学会で評価されています。
3. 数例の成功例のみ話すドクターは信用できません。
4. 一般開業医や病院の場合も、臨床手術例や治療成績、データをチェックしなければなりません。もちろん、広く知られていない、宣伝もしない街の名医、良医はたくさんいます。

真に優れた最高の医療ケア、安全確実な手術、治療が受けられるのは、大学や大病院の名前ではありません。

普通レベルの手術をたくさん行っても、手術数でわかる良い病院にはなりません。C、Dレベルの(あるいは8-9-10レベルの)複雑・困難、高度レベルの手術を何例経験し、その高い成功率、極めて少ない合併症率でそのエキスパートのランキングが出ます。

名医、良医は親切、誠実、丁寧でいばりません。名医としての品格が自然とあります。紹介料や高額謝礼を取る医師もだめです。私は、患者さんから一切お金を受け取っていません。時に、どうしてもということで薄謝を希望する患者さんもいらっしゃいますが、その場合もINERF(国際教育財団)へ寄付していただいています。

国民の皆さん、病気でお困りの患者さん、親切で丁寧に説明してくれる品格のある名医、熟達医は必ずいます。良く調べて、よく聞いて、探しましょう。

2016年12月5日