【提言】 「日本医療の改革、改良を」

欧米と日本との医療費支払いの違い

私は本年で米国在住24年になります。この間、欧米先進諸国と日本との医療費支払いの差をまざまざと見てきました。米国では多種類の民間保険による高額支払いシステムがあり、全ドクターの自由なプライベート医療、ドクターフィー、そして病院の収益を上げるためのビジネス努力が大幅に認められています。

それに比べて、日本の病院運営は全く困難と言わざるを得ません。日本の病院では、仕入れた医療材料(例えば包帯、ガーゼ、消毒薬、シーツ、布団、特殊チューブ、ドレープ、ガウン、手袋、コトノイド、針や糸、ドリルのカッターやダイアモンドバー等)は健康保険(官の保険)で殆ど支払われず、たとえ一部が支払われたとしても原価かそれ以下の支払いになります。これらすべてが病院の赤字になります。米国では医療材料や手術材料は全て保険会社へ請求できます。しかも原価の2倍から3倍が普通です。保険の支払いが不十分な場合は患者側へ請求できます。

日本では今後、病院の事務用品、外来病棟材料、器具、装置、食材、薬品などについて全て8%(来年は10%)の消費税が課されます。それにもかかわらず、支払い基金や患者の支払いには全く消費税がつかないと聞いています。初診料、再診料のアップだけでは到底補う事ができません。こんな不公平な話は全く海外で聞いた事がありません。国民の健康と福祉に貢献する病院の仕入れには消費税をつけないのが正しい政府のやり方です。

米国ではCTを1回とると1,000ドル(10万円)かかります(日本は0.8万円)、MRI検査は1回で30-50万円、ヨーロッパでも10万円、南米でも5万円、日本はたったの1万円です。米国での入院費は州によって違いますが、大体1泊10-20万円(日本では1.5万円)です。ICU集中治療室入院は1泊40-70万円です(日本では最も厳しい認定を受けても7万円)。日本の医療支払いは先進22カ国中最下位という超低額支払いです。

日本もドクターフィーを認めるべき

しかも欧米ではホスピタルフィー(病院の開設・運営費など)とドクターフィー(医師の技術料)との2本立てですが、日本ではドクターフィーは完全に無視されています。日本の医療には病院やドクターの自由が全くなく、画一的な規制に縛られています。少なくとも給与の低い、大学や教育病院の勤務医についてはドクターフィーを認めるべきだと考えます。ドクターフィーが全くないというのは世界中で日本だけです。

また、日本では禁止ですが、欧米のどこの国でもパブリックの公的医療とプライベートの自由診療、すなわち混合診療が認められています。保険で支払われない診療、医療材料に関して欧米では患者側に請求できます。

日本の病院は、無茶な人件費抑制をしないと経営が立ち行きません。総職員数は米国病院の1/10という貧しさです。満足な設備投資もできません。勤務医と病院に適切に支払われていないのが現状です。勤務医のドクターフィーを認め、正しい混合診療許可のシステムを作成し、そして現在の超低額支払いを2倍にする必要があります。

国民総医療費を60兆円レベルに

政府はすぐに財源不足と言います。私、福島のプランは簡単です。

  • -官僚の天下りを100%禁止する。
  • -1,000以上もある外郭団体への国民の税金の補助金をゼロにする。
  • -国の抱える500台ある公用車を1/10に減らす。
  • -省内の裏金作り、とばし、あずけを厳禁する。
  • -全ての中央官庁の多すぎる職員数を30%減らす
     (長年叫ばれつつ行われていない公務員改革を直ちに実施する)。
  • -必要のない省庁を廃止し重複している部分を効率よく統合する。

無駄を省き節約をする事で、現在の国民総医療費を45兆円にできます。さらに欧米のように民間の健康保険を推進し、少なくとも総医療費の30%を民間保険で充足すれば現在の患者さん自己負担20~30%と併せて、国民総医療費を欧米並みの60兆円レベルに上げられるのです。政府と厚生労働省が真剣に一刻も早く医療、健康の維持の重要性を認識し正しく改革、改善して頂ける事を日本全国民と日本の医師、病院の為に米国から切望しています。

日本国の誇りと繁栄を推進する現政府を応援しています。
日本の病院協会の皆様、大学や病院のドクターの皆様、力を合わせて頑張ってください。

2014年3月24日