脳疾患一覧

 

転移性脳腫瘍

 

転移性脳腫瘍とは

体の他の場所にできた癌が、脳に転移したものです。脳実質の中にできるものに加えて、脳を包む膜(硬膜)や脳脊髄液に転移したもの(癌性髄膜炎)が含まれます。このような病気は癌患者の平均寿命の伸びとともに増加し、脳腫瘍全体の16%あるいはそれ以上を占めるとも言われています。肺癌、乳癌(脳を包み覆う膜である、硬膜に転移が多い)、消化器癌(直腸癌、胃癌、大腸癌等)からの転移が多く見られます。脳の中に1つのみ転移がある場合と多数の腫瘍ができている場合とがあります。もともとの癌が症状を出す前に脳転移で発見される例もあります。

 

症状

症状は大きく2つに分類されます。

(1)頭蓋内の圧の上昇をきたし、頭痛・嘔吐・視力障害や意識障害を生じます。
(2)腫瘍が周辺の脳組織を直接損傷し、それに伴う神経障害が出現します。
痙攣発作や麻痺、言語障害など腫瘍の部位に応じた症状が出てきます。
症状の進行が早いのが一つの特徴です。


 

検査

検査は、造影剤を使用した頭部CT、MRIで行い、小さな病巣も診断可能です。腫瘍の周囲に広い範囲の浮腫を伴うことが多く、造影剤でリング状あるいは充実性に造影されることが多く認められます。転移性脳腫瘍が疑われた場合は、もともとの癌の状態、他部位の転移の有無などを調べる必要があります。

 

検査例
癌治療中数週間で右目失明、左目視野視力低下。原因不明で来院した方の症例。
→検査結果、視神経への転移と判明

 

治療の考え方

生命予後は原発巣のコントロール状態が一番影響し、転移性脳腫瘍の治療は生命予後への影響は少ないです。しかし転移性脳腫瘍は生活の質(QOL)には大きく関与します。治療により歩けなくなっていた患者様が歩けるようになる、言葉が話せなくなった患者様が話せるようになる、激しい頭痛がなくなるなど、症状に対する治療効果は絶大です。

癌の治療中起きうる全身すべての転移の一つが転移性脳腫瘍です。転移性脳腫瘍をいかに手術や放射線治療を駆使して治療したとしても、原発巣がコントロールされてないと治療している間も次々と別の場所に転移が出現し、治療の度に患者様への肉体的、精神的、時間的不利点が増え、治療効果も得られませんし、QOL維持目的のはずがQOLの大きな低下につながってしまいます。

転移性脳腫瘍は脳神経外科専門病院である当院単独で治療するべきではなく、癌専門病院との連携の下で治療を行うことが重要です。