福島孝徳 脳神経外科 活動レポート 2019年5月09日~6月10日

■5月9日(木)~5月11日(土)

フロリダ州ウェストパームビーチにおいて、第43回の福島孝徳国際頭蓋底手術微小解剖ハンズオン教育コースを行いました。3日間のIntensive Microanatomy Hands-on Courseで40名の参加があり盛会でした。

土曜の最後のハンズオンコース終了後すぐに夕方5時30分のフライトでアトランタへ、そこからLos Angelesへ飛んでANAの夜行便で羽田へ。


■5月13日(月)

5時、羽田AM着。到着したその足で大きなスーツケースを持って江古田の総合東京病院へ移動。

総合東京病院では3件の手術。1件目は固くて出血性の聴神経腫瘍で、約2㎝の大きさの腫瘍を95%摘出し、「聴力保存」を成功させました。2件目は顔面痙攣で一発全治。3件目は4つコブの複雑型MCA脳動脈瘤で、STAバイパス(沼澤部長執刀)をおいて、クリップ3ケで完全閉塞術を行いました。

夜、ホテルに戻ると倒れるようにバタンと就寝! ごはん食べられなかった…


■5月14日(火)

07:00時起床。朝食を取れないまま東京駅丸の内の東京クリニックへ移動。

08:00時~10:00時まで12人の特別診察セカンドオピニオン外来を行いました。その後、西葛西の福島センターで外来を5名診て、午後は4例のメジャー手術(以下)を施行しました。

1例目は三叉神経痛、2例目は3㎝の聴神経腫瘍全剔術、3例目は再発多房性の大きな脳下垂体腺腫の全剔術(下図MRI)です。

 

最後の4例目は極めて稀な左中頭蓋底のGSPN神経鞘腫(下図MRI)です。顔面神経剥離保存して全剔することができました(術後、顔面神経機能正常)。


■5月15日(水)

朝一で高知竜馬空港へ。

高知市愛宕病院の四国脳神経センターで溝渕部長、梶田副部長と共に2日間で6名の開頭手術を行います。1例目は右硬膜外拡大中頭蓋窩福島式ロンボイド法で3つコブの大きなダンベル三叉神経鞘腫を根こそぎ全剔し、残存神経線維を3割程残しました。2例目は左右小脳から深部脳幹へ大きく伸展するのう胞性血管芽細胞腫(なんと7個のNodule結節腫瘍)を全剔。この患者さんは10年前に東海地方の病院で部分切除とガンマナイフを受けたが全く改善されていませんでした。3例目に顔面痙攣の手術を行い本日は終了です。


■5月16日(木)

斜台からC2-3まで上下に大きく伸展した大後頭孔髄膜腫を殆ど全剔(下図MRI)。

 

その後、左蝶形骨再々発髄膜腫、及び三叉神経痛の患者さんと3例を行い、全員を助けることができました。


■5月17日(金)

高知市で二泊して、朝一で高知から羽田へ。羽田から車で相模原市の晃友脳神経外科眼科病院へ移動。

大橋元一郎院長と右顔面痙攣(難しい太いVA圧迫をブリッジ法で)、左中大脳動脈瘤クリッピング、鞍結節部髄膜腫全剔と3例の開頭手術を行いました。夜には瑞穂医科工業株式会社の脳外部門本部長と中国情勢について会談しました。


■5月18日(土)

江古田の総合東京病院にて、左小脳橋角部の脳室上衣腫全剔手術(酒井部長活躍)、大きな線維性出血性の困難な聴神経腫瘍全剔術。顔面神経をきれいに剥離できました(下図MRI)。

 


■5月19日(日)

日曜も対応していただいている晃友脳神経外科眼科病院にて、若い女性の運動領にかかる浸潤性傍矢状洞異型髄膜腫の全剔術(術後合併症無し)と、左顔面痙攣のVascular Loop Transposition MVT or VLTを大橋院長と共に施行しました。


■5月20日(月)

朝一で大阪へ。

畷生会脳神経外科病院にて午前中セカンドオピニオン外来9名と、午後に左聴神経腫瘍全剔手術、右三叉神経痛手術、大きな錐体骨斜台髄膜腫の全剔術(下図MRI)と3例を施行しました。

夜は、奈良医大の杉本正先生とDuke大学留学の件で会談しました。


■5月21日(火)

畷生会脳神経外科病院でセカンドオピニオン外来8名、及び左小脳橋角エピデルモイド腫瘍全剔、右聴神経腫瘍(2㎝)の聴力保存手術、左中大脳動脈瘤クリッピング手術と、3例を成功裡に施行しました。

夕方19時の便で東京へ。


■5月22日(水)

朝一で新百合ヶ丘総合病院へ。

左小脳橋角エピデルモイド(類上皮腫)全剔と右聴神経腫瘍2㎝サイズの聴力保存手術を施行(下図MRI)して、その後タクシーで東海大学病院へ移動。

 

脳外科の野中准教授と、若い男性患者さんの左頸静脈孔トリプル伸展の広汎な神経鞘腫の亜全剔手術を行いました(下図MRI)。

 

今日は夜21時まで3例の困難な手術をダブルヘッダーで対応しました。疲れている暇はありません。手術が無事成功して本当によかった!

またごはん食べられなかったです。


■5月23日(木)

07:00時に起床。新幹線で滋賀県東近江市の湖東記念病院へ。

1例目は2㎝大の左聴神経腫瘍の聴力温存亜全剔手術。職業上、どうしても聴力保存が必要な患者さんで、ABR5波が25%減少した時点で、蝸牛神経側に薄皮残して90%剔出でストップしました。

2例目は、若い女性の極めて稀な浸潤性の多房性clear cell髄膜腫。経迷路-経S状静脈洞という特殊な頭蓋底テクニックで切除しました。井上卓郎部長のマイクロ剥離技術は見事でした。
(この患者さんは1年後の検査でも合併症なし。舌咽喉神経にわずかに残存した数ミリの腫瘍部分を放射線治療しました)

 

井上部長は福島式鍵穴頭蓋底手術のエキスパート。その優れた技術は、国内はもとより海外からも高く評価され、手術デモンストレーションに招聘されることも多くあります。日本のトップ脳外科医の一人です。

菊田教授は京大出身の秀才で、ここ数年、難しい頭蓋底手術を滋賀で一緒にオペしています。

夜は政界・医学界の有力者との会談に順天堂大学 天野篤教授と共に出席。


■5月24日(金)

朝一で羽田→札幌。

札幌市 大野記念病院で4例の手術を施行しました。右三叉神経痛(典型的SCA圧迫例)、 Stage4のMacroadenoma下垂体腺腫2例と、左2㎝聴神経腫瘍の聴力保存(NTR99%切除)の手術です。全て無事成功しました。

夕方19:30のANA便で羽田へとんぼ返り。日帰りできました。

入江先生とは30年来の親交です。

北海道一の脳外科顕微鏡鍵穴手術の名手で、脳腫瘍頭蓋底手術も福島グループの中で屈指の腕前。 特に未破裂脳動脈瘤の手術は、2,200例施行で「リスク1%」という世界一の優秀な成績を誇ります。温厚で誠実な性格で人柄も素晴らしい方です。


■5月25日(土)

朝一で羽田→鹿児島。

本日は土曜日ですが、厚地脳神経外科病院で、右聴神経腫瘍の聴力保存手術を行いました。 聴力は左右殆ど同じに良く聞こえる方で、ABR5波を90%保存して手術終了(NTR)。合併症無し。


■5月26日(日)

霧島記念病院で3例の手術をいました。第1例は典型的な左三叉神経痛で、SCA(上小脳動脈)ループ(枝3本)をテント側へ転置移動Repositioning – Fixationを行いました。術後すぐに顔面激痛が消失。よかったです。2例目は下垂体ラトケのう胞(下垂体にできる粘液が溜まったダルマ型の腫瘍)を経鼻手術により1時間ほどで完了。

3例目は小さな3ミリ径の前交通動脈瘤です。ただこの患者さんは以前に右中大脳動脈瘤が破裂したことがります。右からの単純なF-T、Antero Basalアプローチできれいに露出させ、確認すると小さなBleb2つ突出した真赤なうす壁のAcom動脈瘤でした。今にも破れそうな危険な状態でしが、うすくテフロン繊維をNeckから覆って、うまくClippingできました。本日も合併症無し。


■5月27日(月)

鹿児島市内の厚地脳神経外科病院で手術。非常に難しい大きく伸展した左海綿静脈洞腫瘍(下図MRI)と、大きな鞍上部頭蓋咽頭腫(下図MRI)の2例にて、根治的切除を行いました。

 


■5月28日(火)

進行性左下肢不全麻痺と痺れを呈する高齢女性の右運動領直上の傍矢状洞髄膜腫の全剔出を行いました(下図MRI)。高齢の方なので、大脳皮質に薄皮を残すつもりが、コロッと全部取れました!

 

午後13時に鹿児島中央駅から九州新幹線で久留米へ。筑後市の寺崎脳神経外科にて北九州全域のセカンドオピニオン患者さん15名の診察を行いました。

終了後タクシーを飛ばして博多へ移動し、夕方19:30時の学術論文会議に出席。


■5月29日(水)

福岡空港から羽田へ。10:45着。タクシーで森山記念病院へ移動。

セカンドオピニオン外来5名。手術の合間にOP室Floor面談室に来ていただいて、そこで診察しました。

その後、3例の難しい手術。1例目は、根本部長と共に、再発のlarge聴神経腫瘍を右複合経迷路-経S状静脈洞法でNTR、顔面神経を温存して殆ど全剔できました。2例目(下図)MRI)は某病院で不完全な部分切除と、古めかしいオンマヤというバルブを設置された若い患者さんの巨大中心性神経細胞腫。水頭症が続いており、全く効かないオンマヤのtrack孔があるので、そのままそのtubeの3ミリ程の穴を使って鍵穴法でマイクロ下、全剔できました。(白水先生と)。

 

3例目(下図MRI)は佐々木先生との共同手術で、若い女性の延髄腫瘍です。正中後頭蓋窩アプローチで大後頭孔とC1を開放。C2も半分切除しました。のう胞を開放し、正中切開で延髄からC2頸髄まで髄内腫瘍を可及的切除しました。癒着と浸潤があり、星細胞腫かと思ったら病理は良性の上衣腫でした。合併症無し、歩行改善。

 


■5月30日(木)

本日も朝一から北葛西の森山記念病院で3例のメジャー手術を行いました。1例目、は大きな小脳橋角部「類上皮腫」。3、4、5、6、7、8、9、10と8本の脳神経と3本の小脳動脈をきれいに剥離し、脳幹も温存して全剔出できました。合併症もありません。2例目は若い女性の内頚動脈C2-C3近位部の血豆動脈瘤で、Domeに2ケの薄膜膨隆があり、今にも破裂しそうな状況でした。極細のテフロン繊維でカバーしてうまくClippingできました。3例目は小型の聴神経腫瘍。顔面神経を完全に温存、全剔しました。


■5月31日(金)

本日は中野区江古田の総合東京病院で、再発の三叉神経痛患者さんの手術。かなり高齢ですが、痛みが強く手術を希望されました。2例目はとても太い動脈硬化の椎骨動脈と2本の小脳動脈による強いトリプル圧迫の顔面痙攣(下図MRI)の男性の方でした。2本のブリッジ法で何とか顔面神経より離す事ができました。3例目は上下左右に広がる「巨大斜台髄膜腫」で、脳幹圧迫著明なる壮年の男性。明らかに、非常なfibrous、固く出血性で切除困難例でしたので、2回に分けて手術を行うこととしました。第1期の今回は80%程度の内減圧を行い、第2期の手術ではELITEで追加切除を行う予定です。一度に無理をすると大変な合併症が生ずる可能性が高い難しい症例です。

 


■6月1日(土)

静岡県焼津市の志太記念脳神経外科で大きな蛇行する右椎骨動脈圧迫による顔面痙攣の動脈ループ移動術を行いました。


■6月2日(日)

相模原市の晃友脳神経外科眼科病院にて、再発で、急速に増大する4×5㎝の巨大聴神経腫瘍の手術でした。若い中国からの男性患者さんで、この巨大な腫瘍でも右耳が良く聞こえるという、稀な症例です。尾側偏位の顔面神経と聴神経に薄膜をつけて、根治的NTR切除を行う事ができました。
(術後、良好な聴力が温存されました)


■6月3日(月)

朝一で大阪府四條畷市の畷生会脳神経外科病院へ。


三叉神経痛と顔面痙攣と2例のMVT(圧迫血管転置移動術)を施行。その後、大きな聴神経腫瘍の手術を行いました。この患者さんは、1,000人に1人という非常に稀な上下にsplitされた顔面神経圧排(バスケットタイプ)で、腫瘍切除は困難を極めました。7~8割切除したところで顔面神経反応が下がってきたのでストップ。残存腫瘍はサイバーナイフ治療を予定する事にしました。


■6月4日(火)

関西空港から中国南方航空でハルビンへ。


■6月5日(水)

ハルビン大学で講演を行い、その後大きな脳動脈瘤2例のデモ手術をしました。ミズホ医科が世界に誇るT-2チタンクリップの特殊複合クリッピング術を中国の先生方に披露しました。ハルビンは黒竜江省の首都ですが、隣の吉林省、遼寧省からも200名もの脳外科医が参加しました。

ハルビン大学の脳神経外科は1949年開設、70年の歴史があります。現在、脳神経外科だけで283床、年間外来患者数2万人、救急9,000人、手術は5,000人以上というメジャー専門施設です。病院をあげて歓迎していただき、充実した1日となりました。


■6月6日(木)

ハルビンから北京へ。

本日は観光です。北京空港からドライバー、ガイド付きで2時間半ドライブ。長年の念願であった万里の長城(Great Wall)見学を果たしました。この日の晩は北京空港のAirport Hotel泊。


■6月7日(金)

北京→13:00時羽田着。すぐに江古田の総合東京病院へ移動。

左耳失聴で年々増大する頸静脈孔グロムス腫瘍の全剔術を行いました。2日前に塞栓術を済ませて、外耳道閉鎖を行い、トランスラボ経迷路術で大きく開頭。中耳、内耳の全ての腫瘍を慎重に止血しながら全切除しました。9,10の下部脳神経を温存しつつ頸静脈孔、内頸静脈伸展腫瘍を全剔しました。左顔面神経はFallopean Bridge法で正常に保存できました。

中野区江古田の総合東京病院の手術エキスパートをご紹介します。

2例目は、沼澤部長と赤須先生との共同手術で、大後頭孔髄膜腫を左ELITE法で全剔しました。


■6月8日(土)

早朝05:30時起床。07時40分発のANA便で鹿児島へ。

厚地脳神経外科病院にて高齢女性の激痛、右三叉神経痛のMVT手術と右運動領直上の髄膜腫を全剔。午後は霧島記念病院にて顔面痙攣のMVT手術を行いました


■6月9日(日)

本日は霧島記念病院。

1例目は、左錐体骨斜台髄膜腫をRetrosigmoid鍵穴で全剔しました。錐体静脈、7-8を温存し、三叉神経周囲、滑車神経剥離保存、さらにテントをクサビ状に切除して、upward transtentorial 拡大手術を施行しました。視神経の裏から下垂体柄、動眼神経等全て剥離して根治的、全切除が行えました。2例目はカバサール薬物治療の効かない、下垂体腺腫。 鞍上部に広がるMacroadenomaでしたが、経鼻マイクロ法で全剔出できました。

この日は霧島市の京セラホテルへ宿泊。


■6月10日(月)

鹿児島→羽田→森山記念病院へ。

翌朝アメリカへ帰る日ですが、森山記念病院では4例の難しい手術が組まれていました。 とても忙しい1日でした。

1例目は、左蝶形骨から前床突起にかけて内頸、中大脳、前大脳動脈を巻き込み、視神経に浸潤する巨大髄膜腫です。何とか亜全剔して左眼を助け、第2期手術で、内側・深部の残存部にピンポイントサイバーナイフ照射を行う予定です。第2例はlargeの左錐体骨斜台髄膜腫で何の合併症も起こさず全剔成功。第3例は小さな聴神経腫瘍(1.5㎝)、薄皮残して切除。耳鳴消失、ふらつき無しで良い聴力も温存でき、3拍子成功しました。

3例終了したところで、4例目の準備をしていただく間に永田町の都道府県会館へ駆けつけました。午後18:30時からの参議院医療系議員 山口和之氏の選挙激励会にて、脳卒中・心臓血管を含む全身循環器病の対策法律を作成した山口先生の功績を讃え、全国民のドック検診の重要性と健康長寿の秘訣に関し一般向けの講演を行いました。

講演終了後、直ちに森山記念病院へ引き返し、先の3名の患者さんの術後状態をICUでチェック(all OK)しました。そして第4例目の最後の手術を行いました。4例目は左蝶形骨縁から眼窩に浸潤する石灰化広範囲髄膜腫です。根こそぎ取り除き、左眼窩外側部も全剔しました。視神経を助けて、2時間ほどで完了。

夜23時にニューオータニへ帰着。全てPackingして翌日、朝08:30時にタクシーで成田空港へ。今回は成田からワシントンD.C.経由でRDU(Raleigh空港)というルートで、同日の6月11日、夕方19:00時にCome Back Homeとなりました。

(2019.#4.End)

6月、7月は米国Duke大学の仕事がとても忙しく、次回の日本帰国手術は8月半ばからです。

カテゴリー名: 未分類 |投稿日:2020年5月26日